July 27 2005
南新宿と言う人通りの少ない土地に、長野松本にある創業約30年のシュプラのキーマカレーを受け継いだ店がありました。シュプラの味を再現するため、実際に修行に出てしまう妥協を許さない店長の吉野さんを取材してきました。
元々は会社員だったんですけど、そこに長野の松本出身の同僚がいて、松本にあるシュプラと言うカレー屋によく行っていたんです。そのうちにシュプラのキーマが好きになって、シュプラのカレーを東京で食べたい!って思うようになったんですね。
これがシュプラ東京構想です。とはいっても、内輪のノリだけで、このときはまだシュプラのカレーを自分が作るとは思ってもいませんでした。
その後、会社の同僚の知り合いがシュプラの近所に住んでいたこともあり、思い切って会社を辞めてシュプラに修行に行くことを決めたんです。シュプラの修行はもちろん無賃、1年を期限としてシュプラのカレーを作れるようにしてくれるという約束をマスターとして修行に入りました。
修行が終わった2004年5月に東京に戻って開店準備を始めました。実はドアと窓以外は全て手作りなんです。例えば、厨房の棚は私が取り付けました。私は地震のときはまずココが心配なので、すぐに厨房から出るようにみんなに言ってます。
場所が南新宿なのは特に理由はないんですけど、店の前に花壇があったので、「珍しいからココにしようか」みたいなノリで決めちゃいました。前の店はカラオケスナックだったので、全面改装しちゃいました。だって思い描いていたそのままのカラオケスナックだったんですよ。内装は全面ガラス張りだったし(笑)。
2004年10月に開店したんですけど、まだ看板も完成していないし、ご近所の方でさえまだここがカレー屋だと知らない人もいるみたいです。
おいしかったカレーはやっぱりシュプラのキーマですね。あれ以上のカレーにはまだあったことはありません。感動したという意味で言えば、これまたシュプラで修業時代に食べた夏野菜カレーです。野菜カレーのベースは水とタマネギとスパイスだけなので割とあっさり目なんですけど、素揚げした野菜を加えると味が全然変わるんですよ。
シュプラ以外で感動したカレーと言えば、高田馬場の「夢民」です。1杯ずつ野菜を炒めて作るスタイルでオリジナリティーあふれるカレーが印象的でした。あとは、築地の「Nagafuchi」です。脱サラした店主が作っているんですけど、脱サラした人ってカレーに対する思い入れが強いように感じるんですよね。かなわないっていうか、あ、私も脱サラですけど、家族を背負ってる感が本気のカレーを感じさせます。
あと、おいしかったカレーでは麹町税務署(九段下)近くの「カンチャナ」というスリランカカレー、今まで一番シュプラの味に近いと思いました。パンチはないですけど、鶏肉のダシが効いたさらっとしたカレーです。
合いますね。私は元々サッポロ黒ラベルが好きなので、お店にも黒ラベルを入れています。
妥協しないことですね。仕事でもなんでもそうだとは思いますけど、私の場合はとにかくシュプラの味に近づけることが第一優先なので、鮮度に注意したり、片付け、掃除をしっかりやったりという基本的なことをしっかりやることを心がけています。
仕込みの忙しい時間帯に長々とつき合っていただきましてありがとうございました。
吉野さんが仕込みの間、ゆっくりと3つのカレーをいただけて、自分的には大満足しちゃいました。
「妥協しない」という吉野さんの言葉そのものの生き方がカレーに込められていて、LION SHAREのキーマに吉野さんの言われた脱サラカレーを感じることができました。店内に配置されている無垢の木を使ったテーブルのように、主張していないんだけど食べれば食べるほど他とは違う味わいがある、こんな深みのあるカレーを待っていました。(シンジ)
LION SHARE
電話:03-3320-9020
住所: 東京都渋谷区代々木3-1-7 [地図]
定休日:日祝休
営業時間:11:30 ~ 14:00、18:30 ~ 23:00 (LO 22:00)
HP: http://www.lionshare.jp/